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『電気自動車の大きな電池を、家の蓄電池代わりに使えたら便利そう』と考えている方は多いですよね。特に、太陽光発電を付けている家や、停電が気になる家ならなおさらです。
結論から言うと、V2Hという機器を使えば、電気自動車にためた電気を家で使えます。ただ、車がV2Hに対応しているか、家に機器を付けられるか、何のために使いたいかで、合う・合わないがはっきり分かれます。
この記事では、V2Hの仕組みとV2Lとの違い、太陽光発電との組み合わせ方、自宅に合うかを確かめるチェックを紹介します。
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電気自動車のV2Hとは?
V2H(ブイツーエイチ)は、電気自動車の電池にためた電気を、家に送って使えるようにする仕組みです。家に専用の機器(充放電設備)を付け、車と家を電気でつなぎます。
V2Hは「Vehicle to Home」の略で、直訳すると「車から家へ」という意味です。
ふだんの充電は、家から車へ電気を送るだけですよね。V2Hの機器を付けると、その反対に、車から家へ電気を送ることもできるようになります。
メーカーの公式サイトでも、V2H(双方向充電器)をつなげば電気自動車の電気を家へ送ることができる、と案内されています。
| 電気の流れ | 使う機器 | できること |
|---|---|---|
| 家から車へ(ふだんの充電) | 普通充電のコンセント・充電器 | 車に電気をためる |
| 車から家へ(V2H) | V2Hの機器(充放電設備) | 車の電気を家の照明や家電に使う |
| 車から家電へ直接(V2L) | 車のコンセント・給電器 | 車の近くで家電をつないで使う |

電気自動車が蓄電池代わりになる理由
電気自動車には、走るための大きな電池が積まれています。例えば軽の電気自動車でも、電池容量が20kWhほどの車があります(メーカー公式サイトの掲載・2026年10月時点)。
この電池にためた電気を、V2Hを通して家で使うので、「蓄電池代わり」と言われるんです。
ただ、車は出かけてしまえば家にいません。家の蓄電池と同じように、いつでも家の電気をまかなえるわけではない点は覚えておきましょう。
V2H対応と非対応の違い
V2Hを使うには、車がV2Hに対応している必要があります。
対応している車は、V2Hの機器を通じて家に電気を送れます。対応していない車は、V2Hの機器を付けても家に電気を送ることはできません。
例えば、急速充電の口を使ってV2Hに対応している、と公式に案内している軽の商用EVもあります。対応しているかどうかは、車のメーカー公式サイトや、V2H機器のメーカーが出している対応車種の一覧で確かめましょう。
V2Hの機器を先に決めてしまい、後から自分の車が対応していないと分かった。機器を選ぶ前に、今の車や買う予定の車が対応しているかを確かめておきましょう。
V2Lとは?V2Hとの違い
V2L(ブイツーエル)は、車から家電へ直接電気を送る使い方です。家に機器を付けなくても、車のコンセントなどから家電を使えます。
V2Lは「Vehicle to Load」の略です。『V2HとV2L、名前が似ていてややこしい』と感じますよね。
違いは、家の配線を通すかどうかです。V2Hは家の配線に電気を送り、V2Lは車の近くで家電をつないで使います。
- 家の照明やコンセントで車の電気を使える
- 家に専用の機器と工事が必要
- 太陽光発電と組み合わせやすい
- 車の近くで家電を直接つないで使う
- 家の工事はいらない
- 使える家電の大きさに限りがある
車によっては、車内や荷室にAC100Vのコンセントが付いていて、最大1,500Wの家電を使えるものがあります(メーカー公式サイトの掲載・2026年10月時点)。給電器をつないで、外に電気を取り出せる車もあります。
V2Lで使える家電の考え方
車のコンセントの上限が1,500Wなら、同時に使う家電の消費電力の合計がそれを超えないようにする必要があります。
例えば、電気ケトルやドライヤーのように消費電力の大きい家電は、それだけで上限に近づくことがあります。停電の時は、照明・スマホの充電・小さな電気毛布など、消費電力の小さいものから使うと長持ちします。
家電の消費電力は、本体のラベルや取扱説明書に書かれています。『いざという時に何を使うか』を、ふだんから一度メモしておくと安心ですよ。
キャンプや車中泊での使い方は電気自動車・PHEVで車中泊で紹介しています。
V2Hを使う3つの目的
V2Hを付ける目的は、大きく「停電の備え」「太陽光の活用」「電気代」の3つです。どの目的が自分にとって大きいかで、V2Hが合うかが変わります。
『V2Hって、結局なにがうれしいの?』という疑問に、目的ごとに答えてみます。
| 目的 | うれしいこと | 確かめたいこと |
|---|---|---|
| 停電の備え | 停電の時に車の電気を家で使える | 停電の時にどの範囲の家電を使えるか(機器と配線による) |
| 太陽光の活用 | 昼に発電した電気を車にためて、夜や翌日に使える | 太陽光発電があるか、昼に車が家にいるか |
| 電気代 | 安い時間帯の電気や自家発電の電気をためて使える | 電気の契約プラン、家にいる時間帯 |

停電の備えとして
停電の時に、車の電池にためた電気で照明や冷蔵庫などを動かせるのは、大きな安心ですよね。
ただ、停電の時に家のどの範囲まで電気を送れるかは、V2Hの機器の種類や家の配線によって違います。見積もりの時は、「停電の時に何が使えるか」をばくぜんと聞くより、「冷蔵庫と照明は使えるか」のように具体的に聞いてみると答えがはっきりします。
例えば、夜に停電が起きた場面を考えてみましょう。車が家の駐車場にあり、V2Hにつないであれば、車の電気で照明や冷蔵庫を動かせる可能性があります。
一方で、車で出かけている間の停電では、V2Hは使えません。『停電の備えのために付けたのに、いざという時に車がなかった』とならないよう、家族の車の使い方も考えておきましょう。
太陽光の活用として
太陽光発電がある家では、昼に発電した電気を車にためておき、夜や翌日に使う、という使い方ができます。
環境省は、再生可能エネルギー由来の電力で電気自動車を走らせれば、走行時のCO2排出量がゼロになると案内しています(ゼロカーボン・ドライブ)。
電気代のために
時間帯によって電気の単価が違う契約なら、単価が安い時間帯にためた電気を、高い時間帯に使うという考え方ができます。
経済産業省・国土交通省のガイドブック(2017年)では、時間帯別の契約では夜間の充電の電気代が昼間の三割前後とされています。ただ、比率は契約によって違うので、自分の契約で確かめてください。
電気代の計算は電気自動車の電気代で詳しく紹介しています。
電気自動車と太陽光発電の組み合わせ方
電気自動車と太陽光発電の組み合わせは、「昼に車が家にいるか」で効き方が大きく変わります。昼に車で出かける家は、V2Hや蓄電池をどう組み合わせるかを考える必要があります。
電気自動車の太陽光発電の使い方は、自宅のソーラーで車を充電するところから始まります。
『家の屋根のソーラーパネルで、電気自動車を充電できるの?』という疑問はよく聞きます。太陽光で発電している時間に車が家にいれば、その電気で充電できます。
| 家のパターン | 太陽光の電気の使い方 | 合いやすい組み合わせ |
|---|---|---|
| 昼に車が家にいることが多い | 昼の発電をそのまま車にためられる | 太陽光+電気自動車(+V2H) |
| 平日の昼は車で通勤している | 昼の発電を車にためにくい | 太陽光+家の蓄電池、または休日に車にためる |
| 太陽光発電がない | 電力会社の電気で充電する | 電気自動車+時間帯別の契約(V2Hは停電の備え中心) |
例えば、平日は車で通勤していて、昼は家に車がない場合を考えてみましょう。この場合、平日の昼の発電は車にためられないので、休日にまとめて車にためるか、家の蓄電池と組み合わせるかを考えることになります。

自宅のソーラーで充電する時の注意
自宅のソーラー充電は、天気や季節で発電量が変わります。曇りや雨の日、冬の短い日照では、思ったほど車にたまらないこともあります。
太陽光だけで車の電気をまかなうと考えず、電力会社の電気と組み合わせて使うのが現実的です。
ソーラーパネル搭載の電気自動車は?
車の屋根にソーラーパネルを搭載した電気自動車もあります。ただ、その発電量や走れる距離の目安は、車ごとにメーカーの案内で確かめる必要があります。
この記事では、家の屋根の太陽光発電と組み合わせる使い方を中心に紹介しています。
自宅にV2Hが合うかのチェック
V2Hが合うかは、車・家・目的の3つで決まります。どれか1つでも合わないと、付けても使いこなしにくいです。
- 今の車、または買う予定の車がV2Hに対応している
- 戸建てなど、機器を付ける場所と工事ができる
- 停電の備え・太陽光の活用・電気代のどれかの目的がはっきりしている
- 太陽光の活用が目的なら、昼に車が家にいる日が多い
- 車を使わない時間に、家につないでおける
『うちはどれくらい当てはまるかな』と、家族で一緒に見てみてください。
全部に当てはまるなら、V2Hを前向きに考えてみる価値があります。当てはまらない項目が多いなら、普通充電の設備だけにしておく、V2Lで停電に備える、といった選び方も十分です。
V2Hを付けるまでの流れ
- 車がV2Hに対応しているかを確かめる
- V2Hの機器と工事の見積もりを取る(停電の時に使える範囲も聞く)
- 使える補助金があるかを、国・都道府県・市区町村で確かめる
- 補助金を使う場合は、発注や工事の前に申請の順番を確かめる
- 工事をして、使い方の説明を受ける
充電設備の種類については電気自動車の充電器・充電設備の種類で紹介しています。
V2Hの補助金の状況
V2Hの機器には、国や自治体の補助金があります。ただ、2026年10月時点で国の令和7年度補正予算のV2Hの補助は、予算に達したため令和8年8月27日に届いた申請で受付が終わっています(次世代自動車振興センター)。
| 制度 | 2026年10月時点の状況 |
|---|---|
| 国のV2H充放電設備の補助(令和7年度補正) | 受付終了。機器は購入費の1/2以内で型式ごとの上限、工事費は上限55万円という内容だった |
| 東京都の戸建住宅のV2H普及促進事業(令和8年度) | 都内の戸建住宅が対象。原則、機器の契約前に事前申込。受付は令和9年3月31日まで |
東京都の制度は、2月の予算案の資料では、助成率1/2(上限50万円)、太陽光発電・電気自動車・V2Hがそろう場合は10/10(上限100万円)とされています。確定した内容は東京都の公式ページで確かめてください。
国の補助では、補助を受けたV2Hは設置完了日から5年の保有が求められていました。補助金を使う時は、こうした決まりも確かめておきましょう。V2Hの補助金についてはV2Hの補助金で詳しく紹介しています。
機器を選ぶ時に見ておきたいこと
V2Hの機器は、メーカーや型式によってできることが違います。見積もりを取る時は、次の点を比べてみてください。
- 自分の車が対応車種に入っているか
- 停電の時に家のどの範囲へ電気を送れるか
- 太陽光発電とつなげて使えるか
- 置き場所の広さと、屋外に置けるか
- 保証の期間と、故障した時の相談先
工事は、資格を持つ電気工事士が行う必要があります。見積もりは複数の業者から取ると、工事の内容の違いも見えてきますよ。
V2Hと家庭用蓄電池、どちらがいい?
家に電気をためておく役割だけを見ると、いつも家にある家庭用蓄電池のほうが確実です。電気自動車を蓄電池代わりにするのは、車にも乗りたい人が「ついでに家にも使える」と考えると合いやすいです。
| 比べる点 | 電気自動車+V2H | 家庭用蓄電池 |
|---|---|---|
| 家にいる時間 | 車で出かけると家にない | いつも家にある |
| 電池の大きさ | 車の電池なので大きめの車が多い | 機器によって違う |
| 車として使えるか | 使える | 使えない |
| 電池の使い方 | 家で使いすぎると走れる距離が減る | 家の電気だけに使える |
『V2Hを入れたら、家庭用蓄電池はいらない?』という疑問もよく聞きます。昼に車が家にいる日が多く、停電の時も車が家にあるなら、V2Hだけで足りることもあります。
反対に、平日の昼は車がない家で、太陽光の電気をしっかり使いたいなら、家庭用蓄電池のほうが合う場面もあります。
家で使いすぎると走れる距離が減る
電気自動車の電気を家で使えば、そのぶん車で走れる距離は減ります。
停電が長引いた時に、家の電気に使いすぎて、いざ車で移動したい時に電池が足りない、ということも起こりえます。どこまで家に使うかを、あらかじめ決めておくと安心です。
V2Hの機器やアプリによっては、家に送るのを止める残りの量を設定できるものもあります。見積もりの時に聞いておきましょう。
乗り換えを考えている時
V2Hのために電気自動車への乗り換えを考えている方もいますよね。車選びと一緒に、V2Hへの対応も確かめておきましょう。
EVへの乗り換えなどで今の車を手放す時は、下取りだけでなく買取店に売る方法もあります。先に相場を知っておくと、V2Hの機器や工事の費用も含めた全体の負担が判断しやすくなりますよ。
よくある相談:V2Hと太陽光・蓄電池
V2Hや太陽光発電について、よく寄せられる相談を紹介します。
相談1 家庭用蓄電池を買うか、電気自動車を蓄電池代わりにするか
「家庭用蓄電池の見積もりを取ったが、金額の差があまりないなら、電気自動車を買って蓄電池代わりにするのもありか」という相談は、とても多く見られます。
考え方としてはありです。ただ、比べる時はV2Hの機器と工事の費用も足し、車がV2Hに対応しているかも確かめる必要があります。
また、車は出かけると家にいないので、停電の時に車が家にあるかどうかも考えておきましょう。
相談2 V2Hを入れたら家庭用蓄電池は不要?
「電気自動車を買ってV2Hを入れた場合、家庭用蓄電池はいらないのか。両方あったほうがいいのか」という相談です。
昼に車が家にいる日が多い家なら、V2Hだけで足りることもあります。平日の昼は車がない家で、太陽光の電気を昼にためたいなら、蓄電池もあると使いやすくなります。
どちらが合うかは、車を使う時間帯で決まると考えておくと選びやすいですよ。
相談4 太陽光の電気を電気自動車にためて乗れる?
「太陽光発電をして、その電気を電気自動車にためて乗りたい。できるのか」という相談もあります。
太陽光で発電している時間に車が家にいれば、その電気で充電できます。V2Hの機器の中には、太陽光発電とつないで、発電した電気を車に送れるものもあります。
ただ、天気や季節で発電量は変わるので、太陽光だけで車の電気を全部まかなうのは難しいこともあります。足りない分は電力会社の電気で補う、と考えておくと無理がありません。
相談3 太陽光発電がないと電気自動車は使い物にならない?
「電気自動車は、自宅で太陽光発電ができないと使い物にならないのか」という声もあります。
そんなことはありません。太陽光発電がなくても、電力会社の電気で自宅で充電すれば電気自動車は使えます。
太陽光発電は、あると電気をより有効に使えるという位置づけです。なくても、時間帯別の契約などで工夫できます。
『太陽光とV2Hと電気自動車、全部そろえないと意味がない』と考える必要はありません。まずは電気自動車と自宅の普通充電から始めて、必要になったら太陽光やV2Hを足していく、という順番でも十分ですよ。
新しい車に乗り換える前に、今の車の手放し方も決めておく
新しい車への乗り換えを考えているなら、今の車をどうするかも先に考えておくと安心です。
『新しい車のことで頭がいっぱいで、そこまで考えていなかった』という方も多いですよね。
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よくある質問
V2Hはどんな電気自動車でも使えますか?
V2Hに対応している車だけが使えます。車のメーカー公式サイトや、V2H機器のメーカーの対応車種の一覧で確かめてください。
マンションでもV2Hは付けられますか?
国の補助の要領では、マンションの住戸内の分電盤から受電・給電する場合なども想定されていますが、実際に付けられるかは建物と管理組合の決まりしだいです。まずは管理組合や管理会社に相談してみてください。
V2Lだけでも停電の備えになりますか?
車のコンセントや給電器から家電を使えるので、照明やスマホの充電など、限られた家電なら備えになります。家全体に電気を送りたいならV2Hが必要です。
PHEVでもV2Hは使えますか?
V2Hに対応しているPHEVもあります。対応しているかどうかは車ごとに違うので、メーカー公式サイトや機器の対応車種の一覧で確かめてください。
V2Hの補助金は今から申請できますか?
国の令和7年度補正予算のV2Hの補助は、2026年8月に受付が終わっています。自治体の制度は独自に募集していることがあるので、お住まいの都道府県や市区町村の公式ページで確かめてください。
まとめ
- V2Hは、電気自動車にためた電気を家で使えるようにする仕組み
- V2Lは家の工事なしで、車から家電へ直接電気を送る使い方
- 目的は停電の備え・太陽光の活用・電気代の3つ。自分の目的をはっきりさせる
- 太陽光との組み合わせは、昼に車が家にいるかで効き方が変わる
- 車がV2Hに対応しているか、補助金の受付状況を事前に確かめる
電気自動車の全体像は電気自動車(EV)とは、環境への影響は電気自動車は本当にエコ?で紹介しています。





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