電気自動車の仕組み|モーター・インバーター・バッテリーの役割

床下のバッテリーとモーターが透けて見える電気自動車のイラストと、電気自動車の仕組みを紹介する記事タイトル

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電気自動車に興味はあるけれど、『エンジンがないのに、どうやって走っているの?』と不思議に思っている方も多いですよね。

結論から言うと、電気自動車の仕組みは「バッテリーにためた電気を、インバーターで使いやすい形に変えて、モーターでタイヤを回す」というシンプルなものです。

この記事では、電気自動車の基本の仕組みと、ガソリン車の部品とどう違うのかを、乗る人の目線で紹介します。

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目次

電気自動車の仕組みは3つの部品で分かる

先に結論

電気自動車の基本は、バッテリー・インバーター・モーターの3つです。バッテリーが電気をため、インバーターが電気の形と量を調整し、モーターがタイヤを回します。この流れさえ押さえれば、電気自動車の基礎知識としては十分です。

ガソリン車なら「燃料タンクのガソリンをエンジンで燃やして走る」ですよね。電気自動車では、これが次のように置き換わります。

流れガソリン車電気自動車
エネルギーをためる燃料タンク(ガソリン)駆動用バッテリー(電気)
力の出し方を調整するアクセルと燃料の量の調整インバーター
タイヤを回す力をつくるエンジンモーター
回転をタイヤに伝える変速機(トランスミッション)減速機
バッテリーの電気がインバーターを通ってモーターに届き、タイヤを回すまでの流れの図解

バッテリー:電気をためるタンク

駆動用バッテリーは、ガソリン車でいう燃料タンクの役割です。今の電気自動車の多くは、リチウムイオン電池を使っています。

バッテリーにためられる電気の量は「kWh(キロワットアワー)」で表します。数字が大きいほど、たくさん電気をためられて、走れる距離も長くなりやすいです。

2026年10月時点のメーカー公式の数字では、軽の電気自動車は20kWh台です。SUVなど大きめの電気自動車では、50kWh台から90kWh台の車もあります。軽商用バンには、リン酸鉄リチウムイオン電池を使った車も出ています。

バッテリーの種類や容量の見方は電気自動車のバッテリーで詳しく紹介しています。

インバーター:電気の形と量を変える

電気自動車のインバーターは、あまり聞き慣れない部品かもしれませんね。

バッテリーにたまっているのは、乾電池と同じ「直流」の電気です。一方で、電気自動車のモーターの多くは「交流」の電気で回ります。この直流を交流に変えるのが、インバーターの役割です。

それだけではありません。インバーターは、アクセルの踏み方に合わせて電気の量や周波数を細かく変え、モーターの回る速さや力を調整しています。

補足

ブレーキをかけた時は、モーターが発電機の役割をして電気をつくります。この時はインバーターが交流を直流に戻して、バッテリーにためています。これが「回生ブレーキ」の仕組みです。

モーター:タイヤを回す心臓部

モーターは、電気の力で軸を回してタイヤを回す部品です。電気自動車の「エンジン」にあたります。

電気自動車のモーターの仕組みを簡単に言うと、磁石の引き合う力と反発する力で軸を回し続けている、ということです。コイルに流す電気の向きと強さをインバーターが次々に切り替えることで、なめらかに回り続けます。

モーターの種類特徴使われ方
永久磁石を使う同期モーター小さくても力が出しやすく、効率がいい乗用車の電気自動車で多く使われる
誘導モーター磁石を使わず、丈夫で扱いやすい一部の電気自動車や鉄道などで使われる

モーターは、止まった状態から回り始める瞬間から大きな力を出せます。電気自動車の出だしが力強く感じるのは、このためなんです。

モーター出力は「kW」で表す

カタログでは、モーターの力を「最高出力」と「最大トルク」で表しています。

エンジン車では馬力(PS)で見ることが多いですが、電気自動車はkW(キロワット)で書かれているのが一般的です。kWの数字に約1.36を掛けると、PSに近い値になります。

『モーター出力の数字が大きいほど、いい車なの?』と思うかもしれませんが、実はそうとも限りません。ふだんの街乗りでは、出力より、走れる距離や充電のしやすさのほうが満足度に響きやすいです。

カタログを読むための基本の言葉

電気自動車のカタログには、ガソリン車にはない言葉がいくつも出てきます。ここだけ押さえておくと、読むのがぐっと楽になりますよ。

言葉意味ガソリン車でいうと
kWh(キロワットアワー)バッテリーにためられる電気の量燃料タンクの容量
kW(キロワット)モーターの力や、充電器の出力エンジンの馬力
一充電走行距離満充電から走れる距離(試験の条件での値)満タンで走れる距離
電費電気1kWhで走れる距離、または1km走るのに使う電気の量燃費
回生ブレーキ減速する時にモーターで発電する仕組み無し

充電した電気はどこを通る?

充電の時の電気の通り道も、仕組みを知っておくと分かりやすくなります。

家のコンセントから来る電気は交流です。一方で、バッテリーにためられるのは直流なので、どこかで交流を直流に変える必要があります。

充電の種類出力の目安電気の通り道
普通充電3〜6kW家などの交流を、車に積んだ車載充電器で直流に変えてためる
急速充電10〜100kW(一部はそれ以上)充電器の側で直流に変えて、バッテリーに直接送る

出力の目安は、経済産業省の資料(2025年6月)にもとづいています。

急速充電が速いのは、大きな変換装置を充電器の側に置いて、たくさんの電気を一度に送れるからなんです。ただ、メーカーは日ごろの充電はなるべく普通充電にするよう案内しているので、急速充電は遠出の時に使うイメージで考えておきましょう。

車から電気を取り出す仕組みもある

最近の電気自動車には、ためた電気を外に取り出せる車も増えています。

例えば、車内や荷室にAC100Vのコンセント(最大1,500W)を付けた電気自動車があります。バッテリーの直流を、家電で使える交流に変えて出しているんです。

さらに、V2Hという機器を使えば、車の電気を家に送ることもできます。停電の時に家の電気を車でまかなえるので、災害への備えとして選ぶ人もいます。

ガソリン車の部品と比べると?無くなる物・置き換わる物・増える物

先に結論

電気自動車にはエンジンも排気量もマフラーもありません。その代わりに、モーター・インバーター・大きなバッテリー・充電口が加わります。部品点数が少ないと言われるのは、エンジンまわりの部品がまるごと無くなるからです。

『電気自動車は部品が少ない』とよく聞きますよね。

では、具体的に何が無くなって、何が増えるのでしょうか。今乗っているガソリン車の部品と対応させてみました。

分類ガソリン車の部品電気自動車では
無くなる物エンジン無い(排気量という考え方も無い)
無くなる物マフラー・排気管無い(走行中に排気ガスが出ない)
無くなる物エンジンオイル・オイルフィルター無い(オイル交換が不要)
無くなる物燃料ポンプ・点火プラグ無い
置き換わる物燃料タンク駆動用バッテリー
置き換わる物エンジンモーター
置き換わる物変速機(トランスミッション)減速機(変速しない歯車)
置き換わる物給油口充電口
増える物無しインバーター
増える物無し車載充電器(家の交流を直流に変える)
増える物無し高電圧のケーブル・バッテリーの温度を保つ装置
残る物12Vバッテリー補機バッテリー(ライトや電装品用)
残る物ブレーキ・タイヤ・サスペンションガソリン車と同じようにある
ガソリン車の部品を、電気自動車で無くなる物・置き換わる物・増える物に分けた対応の図解

電気自動車に排気量がない理由

電気自動車にはエンジンがないので、排気量もありません。排気量はエンジンの中で燃料と空気を燃やす部屋の大きさを表す数字だからです。

そのため、自動車税では、普通車の電気自動車は「総排気量1.0リットル以下(電気自動車含む)」の区分に入ります。自家用の乗用車なら、令和元年10月1日以後に初めて登録した車で年25,000円です(2026年10月時点)。

マフラーがない=静かで、においもない

電気自動車にはマフラーがありません。走っている時にガソリンを燃やさないので、排気ガスを外に出す必要がないからです。

エンジンの音や振動がない分、車内はとても静かです。その代わり、タイヤが道路を転がる音や風の音が目立つと感じる人もいます。

部品が少ないと何が変わる?

部品が少ないと、交換や点検が必要な場所も減ります。

例えば、エンジンオイルやオイルフィルターの交換、点火プラグの交換は、電気自動車には必要ありません。国土交通省も、電気自動車に合わせた点検の基準を検討しています(2026年10月時点では検討中の案です)。

部品点数が少ないことは、車をつくる側にとっても大きな変化です。エンジンの部品をつくってきた会社が、モーターやバッテリーの部品に力を入れ始めるなど、車の部品の世界も少しずつ変わってきています。

乗る人にとってのいちばんの違いは、交換する消耗品が減ることです。

消耗品・点検ガソリン車電気自動車
エンジンオイル定期的に交換不要
点火プラグ定期的に交換不要
ブレーキパッド交換する交換する(回生ブレーキで減りがゆるやかなことも)
タイヤ交換する交換する(車が重い分、減り方は見ておきたい)
補機バッテリー交換する交換する
よくある失敗

「部品が少ないから、点検はいらない」と考えるのは早いです。ブレーキやタイヤ、補機バッテリー、モーターやバッテリーを冷やす装置など、見ておきたいところはしっかりあります。

電気自動車の仕組みと構造:床下のバッテリーと駆動方式

先に結論

電気自動車は、重いバッテリーを床下に敷きつめる構造が多く、重心が低くなります。駆動方式は前輪駆動・後輪駆動に加えて、前後にモーターを積む4WDもあります。

『同じ電気自動車なら、中身はどれも同じじゃないの?』と思う方もいるかもしれませんね。

実は、電気自動車の構造は、バッテリーの置き方やモーターの数で車ごとにかなり違います。この違いが、乗り心地や車内の広さ、走れる距離に表れてくるんです。

バッテリーは床下に敷きつめるのが基本

電気自動車の内部構造で特徴的なのが、バッテリーの置き場所です。

多くの電気自動車は、薄くて大きなバッテリーを車の床下に敷きつめています。重い部品が低い位置にあるので、重心が下がり、カーブでもふらつきにくくなります。

一方で、バッテリーは重いので、電気自動車は同じくらいの大きさのガソリン車より重くなりやすいです。タイヤの減り方や、立体駐車場の重量制限は見ておきたいところです。

駆動方式は3つ

電気自動車の駆動方式は、どのタイヤをモーターで回すかで分かれます。

駆動方式仕組み向いている使い方
前輪駆動(FWD)前にモーターを積み、前輪を回す街乗り・通勤
後輪駆動(RWD)後ろにモーターを積み、後輪を回す小回り・加速の気持ちよさ
4WD(AWD)前と後ろにモーターを1つずつ積む雪道・坂道・悪路

ガソリン車の4WDは、エンジンの力を前後に分ける部品が必要です。電気自動車では前と後ろに別々のモーターを置けるので、それぞれのタイヤに伝える力を細かく変えられます。

2026年10月時点のメーカー公式サイトでは、同じ車でも前輪駆動と4WDの両方を選べる電気自動車があります。4WDのほうが一充電走行距離は短めになることが多いので、カタログで比べてみてください。

電気自動車にもモーターの「縦置き・横置き」はある?

エンジン車には、エンジンを縦に置くか横に置くかの違いがありますよね。

電気自動車のモーターは小さく、減速機と一体になったユニットとして車軸の近くに置かれることが多いです。そのため、エンジン車のような縦置き・横置きの違いは、あまり話題になりません。

電気自動車の仕組みについて、よくある相談

ここでは、電気自動車の仕組みについて寄せられることの多い相談を、要約して紹介します。

電気自動車はガソリンをまったく使わないの?

ガソリンが高くてつらいけれど、電気自動車ならガソリンは本当にいらないのか、という相談です。

電気だけで走るタイプの電気自動車(BEV)なら、ガソリンはまったく使いません。給油口もなく、家や充電スポットで充電して走ります。

ただ、PHEVやハイブリッド車はエンジンも積んでいるので、ガソリンを使います。種類の違いは電気自動車の種類で見てみてください。

モーター音がしないから、わざと音を出しているの?

電気自動車は静かすぎるので、人工的に音を出していると聞いたけれど本当か、という相談です。

はい、多くの電気自動車は、ゆっくり走っている時に外へ向けて音を出す装置を積んでいます。静かすぎて、歩いている人が車に気づきにくいからです。

「車の中にいると、ほとんど聞こえないんですね」
「歩いている人に気づいてもらうための音なので、外に向けて鳴らしているんです」

速度が上がるとタイヤや風の音で車の存在に気づきやすくなるので、低い速度の時に鳴る仕組みになっています。

なぜ電気自動車には同期モーターが多いの?

電気自動車には同期モーター、電車には誘導モーターが多いのはなぜか、という相談です。

乗用車の電気自動車は、限られたバッテリーの電気でできるだけ長く走りたいので、効率のいいモーターが好まれます。永久磁石を使う同期モーターは、小さくても効率よく力を出しやすいのが選ばれる理由の一つです。

一方で、誘導モーターは磁石を使わず丈夫なので、使う場面によってはこちらが向いています。どちらが優れているというより、使い方に合わせて選ばれているんです。

仕組みから分かる、乗る時と手放す時のポイント

先に結論

仕組みが分かると、電気自動車で気をつけたいところも見えてきます。バッテリーの温度と残量、補機バッテリー、そして手放す時のバッテリーの状態です。

バッテリーは温度で力が変わる

リチウムイオン電池は、温度によって力の出方が変わります。

トヨタは、外の気温が下がるとバッテリーの温度も下がり、走れる距離の短さが目立つようになると説明しています。これはバッテリーが劣化したのではなく、温度による一時的な変化です。

そこで、最近の電気自動車には、バッテリーを冷やしたり温めたりする装置が付いています。充電プラグをつないでいる間に、バッテリーをちょうどいい温度に整える車もあります。

補機バッテリーが上がると動かせない

電気自動車には、大きな駆動用バッテリーとは別に、12Vの補機バッテリーがあります。

この補機バッテリーが上がると、駆動用バッテリーに電気が残っていても、車を動かせなくなることがあります。日産やトヨタは、電気自動車は押しがけで始動できず、救援車とブースターケーブルで始動するよう案内しています。

仕組みから見る日ごろのチェック
  • 満充電のまま長い間置きっぱなしにしない
  • 暑すぎる場所や寒すぎる場所での長期保管を避ける
  • 止めている時にライトやエアコンを切ったか確かめる
  • ふだんは普通充電を中心にする
  • 点検で補機バッテリーとバッテリーの状態を見てもらう

これらは、トヨタ・ホンダ・スズキなどのメーカーが公式サイトで案内している使い方をもとにしています。点検で見るところは電気自動車のメンテナンス、走らせた時の感覚の違いは電気自動車の運転感覚で紹介しています。

今の車を手放す時も、仕組みを知っておくと役立つ

電気自動車への乗り換えなどで今の車を手放す時は、販売店の下取りだけでなく、買取店に売る方法もあります。先に今の車の相場を知っておくと、判断しやすくなります。下取りの見積もりと買取の金額を並べて見るだけでも、どちらが合うか考えやすくなりますよ。

将来、電気自動車を手放す時は、バッテリーの状態が評価に関わりやすいです。メーカーによっては容量計や診断機でバッテリーの状態を確かめられるので、点検の記録を残しておくと説明しやすくなります。

電気自動車の全体像は電気自動車(EV)とはで紹介しています。

新しい車に乗り換える前に、今の車の手放し方も決めておく

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よくある質問

電気自動車にエンジンはありますか?

電気だけで走る電気自動車(BEV)には、エンジンはありません。モーターがタイヤを回して走ります。PHEVやハイブリッド車には、モーターとエンジンの両方が積まれています。

電気自動車のインバーターは何をしていますか?

バッテリーの直流の電気を、モーターを回すための交流に変えています。アクセルの踏み方に合わせて電気の量を調整し、ブレーキの時はモーターがつくった電気をバッテリーに戻す役割もあります。

電気自動車に変速機はありますか?

多くの電気自動車には、ガソリン車のような何段にも切り替える変速機はありません。モーターは低い回転から高い回転まで力を出せるので、1段の減速機でタイヤに力を伝えています。

電気自動車のモーター出力と馬力はどう比べればいいですか?

電気自動車のカタログでは、モーターの最高出力をkWで書くのが一般的です。kWの数字に約1.36を掛けるとPS(馬力)に近い値になるので、今の車と比べる時の目安にしてみてください。

電気自動車にマフラーがないのはなぜですか?

走る時にガソリンを燃やさず、排気ガスが出ないからです。マフラーがない分、エンジン音もなく、車内はとても静かになります。

まとめ

この記事の要点
  • 電気自動車の仕組みは、バッテリー・インバーター・モーターの3つで分かる
  • インバーターは直流を交流に変え、モーターの速さと力を調整する
  • エンジン・排気量・マフラーは無くなり、インバーターや充電口が増える
  • 重いバッテリーを床下に積むので重心が低く、4WDは前後にモーターを置ける
  • バッテリーの温度と補機バッテリーを気にかけ、手放す時は今の車の相場を先に知る
電気自動車ガイド

電気自動車ガイド 編集部

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